コンセプト


百年後芸術祭とは

百年後芸術祭は、千葉県誕生150周年記念事業の一環として実施される、百年後を考える誰もが参加できる芸術祭です。自然、文化資源、豊かな千葉を舞台に、一緒に百年後を創っていく共創の場としての芸術祭を目指します。

総合プロデューサーには、芸術祭の会場の1つであるクルックフィールズ(木更津市)の代表を務める音楽プロデューサーの小林武史が就任。アートの総合ディレクターは、地域に根ざした芸術祭を数多く手掛ける北川フラムが務めます。

国内外から参加したアーティストやクリエーターによる多様な芸術作品が、内房総を中心とした千葉県各地に展示されるほか、ライブアートパフォーマンスや食をテーマとした体験など、体験型プログラムもご用意しています。

「アート」「テクノロジー」「音楽」「食」、そしてそれらからの「学び」を通じて、百年後を一緒に考えていきましょう。

ロゴ・メインビジュアルデザインについて

今からの百年後を想像するとき、想像する本人はその世界にはおらず、その世界を生きているであろう他者を想像することになります。ロゴデザインを制作するにあたって、自分以外の他者が生きる世界のことを想像する、というこの芸術祭の根底にある利他的精神を表現すること、そして未来や他者の存在が画一化されたものではない多様なものであること、それらを表したいと考えました。

100年というただの数字の中には連綿と他者が生きる世界が内在しています。そのことを、「0」と「0」のふたつの円というかたちのもつ抽象性に委ね、ふたつを重ならせることで関係性を結んだ円同士の有り様に、「わたし」と「あなた」の意味を込めました。また、内房総エリアが掲げている「環境と欲望」というテーマにもあるように、ピュシスとロゴス、利他と利己、創造と破壊といった相反するふたつのことが、人間や社会の中に並列し矛盾を伴って内在することも、ふたつの重なる円に比喩しています。

100年後を生きるかもしれないという意味でリアリティを帯びる存在である子供達に、「100」を描いてもらいました。それらを組み込んだロゴデザインは、ひとつのイメージに絞るのではなく、子供達の多様なドローイングの有り様にならって、動的/静的媒体において多様なイメージを存在させようと目論んでいます。

モーションロゴでは様々な子供達による円があらわれ、次第に人間や動物などの生き物に変化していますが、これは「100年後も一緒にいたい人はだれですか」という問いかけによって描かれた、「わたし」と「あなた」の絵でもあります。

ビジュアルに使用している様々な写真は、開催地である千葉の風景を撮影したものです。反転させて上下に組み合わせた写真や映像は、ふたつをひとつとして奇妙な風景をなしています。景色の反転は反意語のような意味を帯び、百年後の未来の不確かさを、また人間や社会にピュシスとロゴス/利他と利己/創造と破壊などの相反するものが内在することを、ロゴデザイン同様に表現しています。

グラフィックデザイン:⻑嶋りかこ
ドローイング:皆川明、千葉県の子どもたち
撮影+編集+フィールドレコーディング:島本塁

アート

千葉の風景や文化資産を舞台に、アーティストやクリエイターたちが創造力を発揮し、新たな芸術作品を発表します。千葉県各地の屋内外にさまざまな形の芸術を展示していきます。

テクノロジー

百年後を考える上で、テクノロジーは欠かすことができません。また、表現方法としてのテクノロジーも日々進化しています。ライブアートパフォーマンスを中心に、テクノロジーを用いた芸術表現にも取り組みます。

音楽

音楽プロデューサーでもある総合プロデューサー小林武史が、音楽もひとつの重要な表現方法として芸術祭に取り入れていきます。ミュージシャンやシンガーなどの参加も予定しています。

自然豊かな千葉県でとれた旬の食材をもちいて、そのおいしさを伝えるだけでなく、今ある豊かな環境をどう百年後にのこしていくか、ということを考えていきます。

百年後芸術祭では、展示型のアートだけでなく、体験型のプログラムもご用意しています。
千葉の歴史や文化、豊かな自然を舞台に、百年後を考えるライブアートパフォーマンスや、百年後芸術祭の大切な要素のひとつである「食」をテーマとした体験などを通じて、創造性や感性を磨く機会をご提供します。

en Live Art Performance

百年後芸術祭の主催者作品として上演される特別プログラム。百年後の未来を表現する、音楽、映像、ダンス、そしてテクノロジーが融合した、ライブアートパフォーマンスです。
百年後。わたしもあなたもいない世界。そこになにを思うか? 人間が抱える矛盾と、その葛藤の中から生まれる希望。失敗と経験を積み重ねながら、重なり合いながら少しずつ未来が創られていく。
開催期間中、ENNICHIBAとともに内房総の5市を巡ります。
en.butterfly-studio.jp

ENNICHIBA

千葉県は山の幸、海の幸に恵まれ、豊かな食文化があります。この豊かな食文化を百年後にも伝えていくために。人の営みの上で欠かせない要素のひとつである「食」は、百年後を考えていく百年後芸術祭において、とても大切なテーマのひとつです。
この『ENNICHIBA(エンニチバ)』は、未来に食をつなげていくための「縁日(ENNICHI)」であり、山の幸・海の幸など豊かな食材が集まる「市場(ICHIBA)」であり、百年後にも食文化豊かな「千葉(CHIBA)」であって欲しいという願いが込められています。
千葉の食に関わる、生産者のみなさん、流通加工業のみなさん、料理人のみなさんと一緒に、百年後芸術祭の会場で、「千葉の食材を楽しめる屋台」や「特別な食体験」や「食の学びワークショップ」などを実施・提供していきます。百年後の食を考えることも、アートのひとつだと考えます。千葉の豊かな食文化を味わいながら、一緒に食の未来を考えてみませんか?

生きる力を養う学校

百年後芸術祭の会場の一つである、木更津市のKURKKU FIELDSで、今年6月から食のメディア「料理通信」との協業で実施されている「生きる力を養う学校」。一人ひとりが暮らしの原点に立ち返り、持続可能な暮らしを実践するために学び、体験するプログラムです。
「生きる力」というものは、自然、社会など全ての領域と繋がってきます。気候変動や経済、格差など様々な問題が乱立する、この大変な時代を生き抜いていくために、食、農、クラフトワークを通して、時には私たちの心を養う文学、哲学なども取り入れながら、気づきを生むプログラムとして、ワークショップ型式の体験プログラムや、地域で活動する団体とのコラボレーション企画など、百年後芸術祭のプログラムの一つとして、様々な会場で、多様なコンテンツを実施予定です。

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