ストーリー

千葉の豊かな食文化を百年後に繋げるためにー。未来の食を考え、体感するイベント「EN NICHI BA(エンニチバ)」に込めた想い。

2023.10.03 | 木更津市

イベント | EN NICHI BA

「百年後芸術祭」の一環として、10月21日(土)と11月5日(日)に 木更津にあるKURKKU FIELDS にて「EN NICHI BA(エンニチバ)」を開催します。「EN NICHI BA」とは、「縁日(ENNICHI)」、「市場(ICHIBA)」、「千葉(CHIBA)」 が融合した食と学びの新たな食体験イベントです。千葉県は山の幸、海の幸に恵まれた、豊かに受け継ぎ守られてきた食文化があります。この豊かな食文化を百年後にも伝えていきたい、そんな想いを込めて開催されます。

ここでは、「EN NICHI BA」のクリエイティブに関わるライフスタイリストの大田由香梨さんに開催に至った経緯やイベントに込めた想い、具体的なイベントの内容などについてお伺いします。

———「EN NICHI BA」開催に至った経緯を教えてください。

最初のきっかけは、百年後芸術祭総合プロデューサーの小林武史さんから「百年後芸術祭で縁日やりたいね」というアイデアがベースとなり、今年の5月に実験的にKURKKU FIELDSで小林さんとともにイベントを開催しました。100年後芸術祭でも大切なキーワードの一つ『EN』をテーマに 新たな縁(EN)を作り、宴(EN)を楽しむ、円(EN)となり、延々(EN)と巡る時を想う。さまざまなENを意味する「ENNICHI」というイベント名を掲げました。

大きなステージのあるクリエイティブパークで、和歌山の『ヴィラ アイーダ』のシェフ小林寛司さんやKURKKU FIELDSのシェフ達と一緒に、昔懐かしい縁日の屋台飯と、内房総を中心とした千葉の食材を掛け合わせたとても贅沢な屋台飯を考案しました。

未来食のひとつである大豆でつくった唐揚げ屋や、ジビエの骨を煮込んだボーンブロスヌードルの屋台、 朝搾りたての水牛ミルクのかき氷屋さんなどたくさんの屋台が並び、小林さんたちによる心地よい音楽とともに、たくさんの方に楽しんでいただきました。

今年5月にKURKKU FIELDSで開催した「ENNICHI」の様子。

———「EN NICHI BA」に込めた想いとは?

「EN NICHI BA」はその後、今一度、千葉で開催される縁日のあり方を想像した時に、いくつかの言葉が、『場(BA)』を設けることで含まれていくことに気づきました。 縁日(ENNICHI)と市場(ICHIBA)、そして千葉(CHIBA)という3つの意味が込められたこの言葉は、 百年後も食文化の豊かな千葉であってほしいという願いを込めております。

今は小さな規模ですが、百年後には、千葉に住む方々が、県内各地で行われる大規模な「EN NICHI BA」で生産者の方々と直接会話をしながら食材を買うことができ、この土地や季節でしか味わうことのできない屋台飯を楽しめるような「場」となることを願っています。

———10月21日(土)の「EN NICHI BA」について教えてください。

「EN NICHI BA」では、約20から25店舗の屋台が並びます。 千葉で活躍されている農家さんや、レストラン、食品加工メーカーさんとともに、皆様をお迎えいたします。また、5月にもゲストシェフとして来てくださった和歌山の「villa aida(ヴィラ アイーダ)」から小林寛司シェフをお招きして、内房総の季節の旬な季節の食材を使ったスペシャルなダイニングイベントが開催予定です。

KURKKU FIELDSの施設と農園を廻り、命の循環、大地の循環、そして環境の循環を体感した後にいただく寛治さんのお食事は、また格別な食体験となることと思います。私も、このSpecial Dinningでは、クリエイティブディレクション、空間演出でお手伝いをさせていただいています。

「villa aida」小林 寛司シェフ

———11月5日(日)の「EN NICHI BA」について教えてください。

同じく「EN NICHI BA」では、千葉の食を楽しんでいただける店舗が多く並びます。そして、この日のスペシャル企画は、 一人ひとりが暮らしの原点に立ち返り、持続可能な暮らしを実践するために学び、体験するプログラム「生きる力を養う学校」からKURKKU FIELDSのレストラン「Perus(ぺルース)」 の山名新貴シェフが指揮をとり、百人で行う食の宴「百宴」を現在準備しています。

コロナ以降、より人と人とが向かい合い、語り合い、同じことをして楽しむ。という時間の貴重さを、多くの方が気づき始めていると思います。「百宴」では、自然と一体となる調理を通じて、多くの人と人が出会い、深められる。そんな食体験を準備しています。

KURKKU FIELDS「Perus」 山名新貴シェフ

———「EN NICHI BA」への意気込みをお聞かせください。

この数年間、千葉でのプロジェクトなどのご縁があり、今では週の半分を千葉で過ごす二拠点生活をしています。そして千葉の風土の魅力を、日々とても強く感じています。 東京からの距離、そして、海に囲まれた半島であり、広大な大地、険しい山などがなく、とても穏やかで優しい空気が流れている千葉。この美しく優しい千葉の風土が育てた食材がハブとなり、「あらゆる循環の魅力」を、暮らしの中のアートを通して、より多くの人へ伝えていくことができればと思っています。

■「villa aida(ヴィラ アイーダ)」小林 寛司シェフからのコメント

「メインストリームが取りこぼしている価値を、外から投げかけたいと思います」。

■KURKKU FIELDS「Perus(ぺルース)」 山名新貴シェフからのコメント

「100年後、私たちがいない世界に何を想うか、どんな食文化を残していけるのか、残したいのか。
人それぞれ想いはあると思います。私の役割としては、千葉県の豊かな環境とそこにある食材の魅力を発信しクリエイトしていくこと。食(料理)もある種の芸術活動です。
今回、「EN NICHI BA」では地域の皆さんと一緒に食の豊かさをお届けします。
そしてスペシャルプログラムである「百宴(ひゃくえん)」では、”分かち合う”をテーマに、
人と人、人と自然が共生し、人間が生きていく上で欠かせない”循環”を五感で感じ、
原始的な調理方法で皆さんと一緒に100年後を考えていけたらと思っています」。

■百年後芸術祭 EN NICHI BA スペシャル企画(終了しました)

Kanji Kobayashi Presents Special Dinning for 円都LIVE

大田 由香梨 Ota Yukari

ライフスタイリスト/ スタイリストとしてファッション業界で活動をスタートさせた後、住空間、FOODディレクショ ンなど、 衣食住<ライフスタイル>をスタイリングする“ライフスタイリスト”として活動。 自身の ブランドのディレクションの他、企業・ブランドのコンサルティングなど、 クリエイティブ活動 を通じて豊かでサステナブルな暮らしを多角的に提案している。 百年後芸術祭ではライフスタイ リストとして『暮らし』と『アート』を繋ぎ表現する役割として、 クリエイティブチームに参画。

小林 寛司 Kobayashi Kanji

<ゲストシェフ> 小林 寛司 villa aida オーナーシェフ Kanji Kobayashi 海と山に囲まれ、美しい川の流れる自然豊かな和歌山県に位置し、1日一組のみのゲストをもてなすガーデンガストロノミー「villa aida」。大胆に野菜を使った料理の数々が注目を集める。 レストランで提供する野菜のほぼ全て、年間約300種類の野菜を、レストランそばの畑で、小林シェフとマダム自らが栽培。その日に収穫した野菜やハーブを中心に、近隣の魚介、家禽、ジビエを合わせた料理を提供。 「Farm to Table」を体現するガーデンガストロノミーとして、2023年12月20日には、レストランオープン25年目を迎える。 「自然環境や健康の向上と、 お客さまに満足していただけるコースを作ることを両立させること。風土を大切にして、その瞬間の季節をカタチにする為に、私たちは敢えてスペシャリティーを作りません。日本人が昔から行ってきた、旬の食材をその時期に食するという文化をガストロノミーに昇華させる、これが真の美味しさであり豊かな人生だと考えます。」 Kanji Kobayashi <受賞歴> ・2023年 「Asia’s 50 Best Restaurants 2023」2年連続14位を獲得 ・2021年 「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山 2022」二つ星、グリーンスターをダブル受賞

山名新貴 Yamana Yoshiki

<レギュラーシェフ>1995 年生まれ。鳥取県鳥取市出身。 大阪『クイントカント』で約4年半勤務しスー シェフを務める。イタリア、スペインをはじめ国内外の星付きレストランで研修を積み、2021年 11 月 KURKKU FIELDS「perus」 のシェフに就任。自然と共生し、生産者の想いと素材に寄り 添った食へとアプローチする。 百年後芸術祭 「EN NICHI BA」 のレギュラーシェフを務め、スペ シャルイベン「百宴」では、人と自然、人と人とが”分かち合う”をテーマに直火を使った新たな 食体験を届ける。

ストーリー一覧へ